もちの備忘録

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オーディオブックでヴァンパイア探偵を聴いたよ

ランズベリーアーサーさん、伊東健人さんご出演のヴァンパイア探偵のオーディオブックを聴きました。

https://www.audible.co.jp/pd?asin=B09GVDTJN2&source_code=ASSORAP0511160006

 

 

 

アーサーさん演じる静也はミステリアスで秘密を抱えており、人間離れした美貌を持つ研究者の青年。伊東さん演じる刑事の遊馬は裏表がなく根が明るくて友達想いです。二人のファンならこういうキャラが好きなんじゃないかという路線で演じていらっしゃいます。朗読劇もあったのですが見た目も完璧です。続編もやって欲しいな。

 

内容は殺人事件の捜査をしながら静也の研究内容であるヴァンパイア因子の真実に向かっていくミステリーで、キャラブンというレーベル的に10代くらいの読者を想定していると思われ、事件自体は陰惨ですが内容は難しくなく聞きやすいです。

作者の方は薬学科卒のようで、研究所パートや、ヴァンパイア因子という実在しない成分の話を尤もらしく語るあたりなどは理系ミステリっぽくて面白いのですが、人間の描写が苦手なのか、殺人事件の動機や行動にやや無理があり、古いメロドラマが始まったりするのがちぐはぐです。オムニバス形式でひとつひとつの事件は「使い捨てのモブキャラなのでどうでもいい」ということなのかも知れません。

 

以下ネタバレあり

作品の主体となるのは静也と遊馬の濃い友情ものです。すべての事件は静也の研究へと近付く構成で書かれています。二人の関係は「運命の血」が関わっており、BLで言うオメガバースに近い……もう少し純愛寄りです。互いの感情は友情ながら、抗えなく惹かれてしまう体質を持って出会った設定です。感情も、本当に友情だけか?という塩梅で書かれたいわゆる(好きな言葉ではないですが)ブロマンス、ニアBL作品です。

二人の友情は非常に清らかで爽やかに書かれますが、賑やかしで出てくる女性キャラが「男性臭さにアレルギーを持ち静也に興味津々の二人のお邪魔虫」として登場するのがノイズです。

他にも全体的に女性観や、あとオタク男性が出て来るのですがそちらに対する偏見も非常にキツいものがあります。殺意も恨みもなく間違って殺した相手をバラバラに出来るメンタルと技術を持ってる人間はいないと思う……。

研究者系のミステリーで長いシリーズを沢山書かれている作家さんのようですので、もしかしたら新境地として若い女性に読んでもらえるものをと企画されたのかな?と感じますが、女性読者に読ませたかったらジェンダー観を編集者がチェックしてノイズを取り除くのが先決かと思います。

 

人間描写の薄さ意外は面白い理系ミステリでした。基本的には読みやすく、まだ一巻なので続いたらもっと面白くなりそうな予感もありますし、普通に続きが気になるのでオーディオブックの続刊が出たら買おうと思います。

 

ホームズみたいな男二人のミステリものは王道ですが少し踏み込んだ設定が珍しかったです。(私が知らないだけかもなのでいいのがあれば教えて下さい)ニアBLを含んだ一般ミステリーが世に埋もれているのならどんどん掘り起こして音声化して欲しいですね。

 

こるもの先生のさらまんどらも是非読んでください。