もちの備忘録

感想文を書かないと何もかも忘れてしまうので

池袋裏百物語

池袋裏百物語・明烏准教授の都市伝説ゼミ

20210911〜12

【9/11〜12公演】池袋裏百物語 明烏准教授の都市伝説ゼミ|池袋裏百物語 明烏准教授の都市伝説ゼミ|tree

 

榎木淳弥さんご出演の12日の昼夜を配信にて鑑賞。

 

百物語と都市伝説とミステリーとメタ要素の加わった現代的なエンタメだった。

恐怖とは誰にとっての恐怖なのか、今時幽霊や怪奇現象が起こっても誰も怖くない。それよりボソリと呟いた悪口をマイクに拾われ大勢に聞かれたり、現場や舞台上で総スカンをくらったり、そんなことの方がよっぽど怖い。

「死んでいく舞台がある」というのは現代の作り手にとっての悲痛な叫びだと思うし、「作品に呪われたままで良い」というのも作り手の祈りだと思う。

蝋燭風のライトを散りばめたステージと、5人分の椅子。背後のモニターを使って、劇場と配信の両方があること(あるいは、配信のみになってしまう可能性なども)を活かした演出が、配信が単なるイベントに来れない人の代替品やアーカイブにとどまらず、この困難を逆に利用して面白いものを作ろうとしていて意欲的でとても良かった。

 

榎木さんの芝居は「その人が本当にそこにいる」ことを目指したお芝居で、いわゆるアニメ的なデフォルメも殆どなく(作品によってはやる)、江戸という青年がボソボソと喋りながら、時々心の底の方にある悲しみや覚悟と壊れた部分を覗かせる。佇まいと表情と全てで江戸くんを表現するので目が離せない。

江戸の最後の語り。最後の一言と会場へ向ける目線。昔からそうだが、榎木さんのお芝居は物語の起承転結の緩急まで計算されていると思う。

江戸のこの一言によって物語は終わる。そこにどういう後味を残すかは芝居に掛かっている。自分の背負っていた荷を一つ一つ改めて慈しみ別れを告げるように、ことりと落として舞台を去っていく。物語が江戸の手を離れ私達に託される瞬間だ。

朗読劇イベントではあるけど、映像配信で細かい表情まで見られることを前提としたお芝居をしっかり楽しめて良かった。

推しの芝居を浴びられる幸せに満たされた。

 

昼の部は狩野さんの桜庭は派手ででも根は悪い人じゃ無さそうなとこが良かったし、あまたんのネット弁慶感が良かった。

下野さんの教授は理知的でチャーミングでこの作品は下野さんを語り手にしたシリーズなのか?という存在感が良かった。

 

夜の部は林さんの桜庭がマジで怖くてちびったしあまたんの江戸も怖いしもう怪談より人間が怖いよ〜😂

 

アフタートークでみんながお互いの芝居を褒め合ってて芝居大好きの集まりで良かった。

DVD化して欲しいなあ!