8P ユニットソングドラマCD2024 vol.2
8P ユニットソングドラマCD 2024 Vol.2★特典付:CD | ステラワース
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どうしても売れたい、金も地位も名声も女も全てが欲しいお笑い芸人が最後に笑うための物語。
声優さんによる漫才パートが2組あり、実際にお笑い芸人さんのコントやラジオの構成もされているセパタクロウさんが手掛けている。
8Pのファン、キャストのファンのみならずお笑いが好きな人、お笑い芸人を題材にした物語が好きな人にぜひ聞いてもらいたい一枚。
以下オタクの雑感。
💛💙らすと寿限無
💙マサくん
CD一枚まるまる、活きのいい厨二こじらせ童貞クソ陰キャ関西弁眼鏡芸人(cv:髙坂篤志)が聞ける、これが≪福利厚生≫か……。
夢とか希望とかみんなを笑顔にするとか綺麗事を言わずに地位と名声が欲しい!売れたい!モテたい!て正直に言うマサくんは気持ちよかった。
普通に嫉妬して普通に悪態をついて普通に調子に乗りかけて、心のどこかで欲しいものはこれじゃないと感じながら違和感を無視してあのまま長く売れ続けたら、ふわエモのように、自分が本当に愛しているものがわからなくなってもおかしくなかった。
登坂の、心からの、マサくんとお笑いやるの好き💛たのしい💛マサくんすごい💛マサくんえらい💛を浴び続けた結果マサくんの毒気も抜かれどん底だった自己肯定感も回復して、売れたのもあってあの日のふわエモの漫才を真っ直ぐ評価出来るようになってて良かった。
マサくんは特別な才能を持って生まれた訳でも何かに秀でていたわけでもなく、地位も名声も金も女も全部欲しかったけど、彼女がいないから女で登坂と揉めなくていいし、友達が居ないから借金も作らないし、コミュ力がないから偉い人にも媚びることもないし、干されて時間があるからネタ合わせもいくらでも出来る。
マサくんが最初に見た芸人はピン芸人のヘラクレスかぶとさんで、お笑いをやりたいだけならピンという道も目の前にあったのに、マサくんにその選択肢がなかったのは、人見知りである以上に孤独が嫌だったんだろうと思う。
「大=一人」「仁=二人」で、一人より二人でいたいマサくんは、二人じゃないと出来ない漫才を選んだ。
本当に素晴らしい出来だったのにまだフリトで「もっと出来たんじゃ……」て考え続けてる髙坂さんが全く驕らず、こういう人達だからこの完成度に出来たんだなと思う。
前回のユニドラの遠き日のフリオーソが名作すぎたので、あれを超えるものって作れるのかなと思っていたけど全然超えてきて凄かったです。
💛登坂
八代さんて兄貴分やあざとかわいい系や美人系やコミカルな芝居もどんな役でも出来るけど、登坂は限りなく八代さんの普段の喋りに近い、年相応の男性感がありつつ中身が可愛く嘘がないcv八代さんで、ドンピシャこれが欲しかった。私の欲しいものがどうしてわかるんですか?
登坂はおそらく発達障碍かもしかすると知的障碍ボーダーで、かなり困難を抱えており本来は専門機関にかかるのが望ましいのだが、貧乏な家に生まれて親も自分もそんな知識もお金もない、若い頃は曖昧に笑えば可愛いで済まされても大きくなると周囲もただ出来の悪いダメ人間だとしか思わない、そうこうしているうちに取り返しのつかない失敗をしてしまう。漫画「みいちゃんと山田さん」のみいちゃん……程まではいかない(簡単なバイトなら出来る)んだけど、いかないからこそ見過ごされがちな生きづらさを抱えている。
ファンの子にきちんとお礼を言う、あれは育ちがいい訳ではなくて自分で喜んでくれる人がいることが本当に嬉しいから。
簡単なことも出来ない人間が、出来るように更生されてそれを成長と呼ぶのではなく、いま出来ることを活かした漫才を考えてくれるマサくんがいて、登坂は登坂のままで最高に人を笑顔に出来る人間にしてくれるマサくんに愛しかなかった。
土砂降りの雨と雷を「俺らっぽい」とマサくんは言うが、二人の出会い、「真っ黒な空」の中、黄色い⚡️が光ると夜空がほんのりと青色に輝く、これが💛と💙の物語ということだと思う。
💜🤍ふわエモ
ほんと〜に大事な役で、益山さん千葉さんお二人とも良かった〜。ここが軽いと寿限無の物語も軽くなるもんね……。漫才のところは本当に笑えたし、乱闘シーンとかヒィヒィ言いながら聞いてた。
一度漫才で受けてじわじわと変わっていったのがつらい。
💜新田
最初は漫才好きだったんだろうな。
じゃなきゃ1年目で仕上がってるわけがない。マサくんの言う通り素人さんがだだ滑りしていたはず。「タイパが悪い」と言うほどネタを練って稽古してそれが苦ではなかったんだろう。
だけど売れて、売れることが正義の世界でルックスとリズムネタで売れたら漫才を捨ててしまって、男としてのプライドも捨てて偉い墨川さんに一生懸命ホステスみたいに媚びておだてて繋がり作って売れてる状況を維持し続けた。髪の色をコロコロ変えるのも飽きられない為でしょ。新田は半端に真面目な普通に明るいだけのお笑い好きなのでは?
イケメンのケンスケと比べられ、「イケメンの方とそうでない方」などと言われたりして嫌だったんじゃないか。
大切なものをいろいろ捨てて、昼も夜もなく訳のわからないまま働いたら「こちらが尽くしてやってるのだ」という押し付けがましさは生まれる。残った大切なものである彼女に手を出されたらそりゃケンスケを◯すしかない。ケンスケと寝た彼女なんて顔を見るのも嫌だからヨリは戻せないでしょう。悲しい……。
💜<いつもケンスケが悪い!
益山さんは兄弟子役のシーンでも怒ってて大変。疲れたのかトークで今寝てた?てとこがあって面白かった。おつかれさまです。
🤍ケンスケ
例の電話のシーン、ケンスケ側の台詞だけで「相手は彼女だな」とわかるのでうまい……(彼女の存在がその後の展開に関わってくる為……)
ちばさんの、極端に露悪的なデフォルメをせずじんわりしたヤダみを出すのがうますぎて震える。ケンスケのこと嫌いと言うと言った方が悪いことになりそうな感じ。こっわ。ちばさんはその解像度の高さをどこで……?
まるで反省の色のない謝罪読み上げはわかりやすいけど、初期からイケてる奴とそうでない奴に分けたり、「高橋くんはダメでしょ」と目の前でdisったり、新田が墨川さんに必死になってる間にケンスケは何もしないし、旧知の共演者への挨拶も雑。
多分ケンスケには華があった。ネタに必死になろうがお笑いに愛があろうが華だけは努力では手に入らない。でも簡単に手に入るものを人は大切にしないのだ。
もういつでも手を出せる普通の女では満足出来ない。フォロワー百万人のインフルエンサーなんていうランクの高い女より価値のある女は、「相方の彼女」という禁忌。
ケンスケが何も努力していなかったわけでもないと思う。「上から目線」という言葉から、新田がネタを作って自分はそれに従うだけの、新田に頼りきりの関係も嫌だったんじゃないか。
ネタが作れない自分が新田に勝てるのは顔と華とモテること、彼女に手を出すことで新田に「勝とう」としてしまったんじゃないかな……。
二人とも最初は漫才は楽しかったはず。なのに8年かけて少しずつ少しずつ破綻していった取り返しのつかなさに胃が痛む。
そう、8年かけて作り上げるものもあれば壊れるものもある。怖い!
そして夕波で大学のサークルの楽しい時期の話をやった後に大学のサークルで楽しいからやってたことがビジネスになって破綻していくさまを書く!鬼〜〜っ(鹿〜〜〜っ)
ふわエモの二人はらすと寿限無の鏡で、覚えの悪い登坂を叱りつけてるマサくんは上から目線だし、登坂は顔がよくて女にだらしない。
マサくんに彼女がいたら?クソ陰キャで偉い人に媚びるのが下手くそじゃなかったら?登坂が頭が良くてプライドがあったら?いつ「そちら側」に行ってもおかしくない危険はあった。
げんにマサくんは売れると漫才はいつでも出来ると言い出しお世話になったヘラクレスさんを「バイトをやめられない側」としてぞんざいに扱おうとしたのだから。
🩷<ぞんざいぜんざいおばんざい!
ふわエモの二人がこうなって当然の悪人だった訳じゃない。誰だって自分の本当の望みを無視したり、抑圧や鬱屈によってこうなる可能性はあるのだ。
ふわエモはコンビはもうダメだろうけどそれぞれ案外しぶとく生きていてって欲しい……。
歌舞伎町でケンスケを見かけたら報告します。
💚🩵春来
真壁と椎名という名前に一切のおちょけがなく、順当にイケメンで売れてそ〜ドラマにも出てそ〜年一でお笑いライブもやってそ〜強そ〜な匂いがすごい
💚神谷くん
神谷くんの言うことももっともなので困った。
調子に乗って下手な漫才でダダ滑りしたらトラウマになるし……でもやらないとうまくもならないし……。
演じているのがえのきさんなことで、「きっと小柄だから暴れる新田のことを力では止められないだろうな」と感じられて良かった。担当タレントが放送事故炎上番組打ち切り謹慎解散って、マネージャーはどういう処分を受けるんでしょうか……。
❤️墨川ブラック
売れっ子お笑い芸人41歳役畠中さんセクシ〜
登坂を飲みに誘ってマサくんがありがとうございます!て言った時の「ああ……(相方は誘ってないけど……まあいいか)」という間が登坂の顔にしか興味無くて絶妙。(芸人としての寿限無に興味がない。と、いうことは芸人としてのふわエモにも興味はないのだ。)
かぶとさんの鏡で二人は同じように先輩として後輩に奢ってあげてて、墨川は墨川の世界で正義なんだけど、これがふわエモを蝕む毒になった。
高級クラブで隠れて(クラブの子ならおそらく娘ほど年の離れた)女の子と付き合う墨川と、3人目の子供が生まれるかぶとさんという鏡。
🩷ヘラクレスかぶとさん
これ野上さんの代表作に入れた方が良くないですか?
めちゃくちゃ良かった〜
かぶとさん、本編中でギャグを一つも天丼(同じギャグを繰り返すこと)しないので、多分22年毎日新ネタ披露してる。凄い。
子供達も適度に年が離れているので、無計画に子供を作ってしまうビッグダディ……ではなく、妻も納得の上で産んでいるように思える。
マサくんが調子に乗りかけた時にちくちく釘を刺しに来てるのも良かった。同じように道を踏み外す後輩も沢山見てきたんじゃないかな……。
「笑者」というタイトルには笑わせる者と笑われる者と笑う者、「しょうしゃ」で「勝者」の意味が含まれてると思うけど、何を持って勝ちとするか、という話。
墨川の世界、TVの世界ではやはり数字を取れる者、すなわち売れて稼いでいる人気者が勝ちなんだろうが、かぶとさんの中では目の前の人をひとり笑わせることが出来たら「勝ち」なんじゃないだろうか。
それは自分の家族であり、営業先の子供やお年寄りであり、陰気な顔をしたマサくんであり。
TVの中で顔の見えない大勢に向かって芸をするより、目の前の人の顔を見て芸をする方がかぶとさんはしっくり来るのかも知れない。
でもかぶとさんもまだ全然ブレイクする気あると思うから、ネットで海外アーティストに見つかってTikTokで跳ねて欲しい〜。
でもかぶとさんはCV野上さんなのでSNSやってないかも……(そこを当て書きに?)
かぶとさんにも紆余曲折葛藤あって今の立ち位置に落ち着いたのかも知れない。やはり墨川のコンビとヘラクレスかぶとのスピンオフを作ってもらわなくては……。
🧡まとめ
主題歌「スニーカードリーム」の歌詞にある「芝浜で皿を数えよ(う)」とは、落語の演目のことで「芝浜」が財布を拾った夢を見たと思ったら実は現実だったけど大金で遊んで暮らしてたらだめになるから女房が夢だったことにしてくれてて真面目に生きてて良かった〜て話で、皿を数えるのは「皿屋敷」で、10枚のうち1枚割ったことで折檻されて死んだお菊さんが死んだ後も皿を数え続けてる怪談の話から落語にはお菊さんが見せ物になって皿数え営業をしている(18枚数える)ネタもあるらしいので総合すると
大金を手にするのが夢だったマサくん。
失敗しては殴られてきた仁。
夢が夢のままでなかったらどこかで狂っていたかも知れない。大量の女の子達や師匠の奥さんと関係を持った事実は覆らない。
二度と正しい10枚にはなれない寿限無がもう一度
芝浜=大金を拾った浜=お笑い界で
皿を数えよ=10枚にならない恨みすら芸にしてしまおう
=芸を続けよう
と、いうことかな〜
生きていればどうしようもない失敗を犯すことはある。10枚揃いの皿を1枚割って、二度と元通りに戻れないことは起こりうる。元から皿など無かったのだと目を背けるか、1枚足りないことを嘆き続けるか、10枚を超えて数え続けて芸にするか。
登坂の願い「みんなに笑って欲しい」は大勢の人にウケること、売れることと不可分で、本当にやりたい漫才を愛し続けるためにもより良いものを作り続ける必要がある。
いつか皿を割ってしまった時、自分が何者で、何を愛しているのか。それさえ間違えなければ生きていけるし、最後に笑えるんだと思います。